理学療法士はピラティスを学ぶべき!その理由3選
- 理学療法士の先輩がピラティスの資格を持っているけど、ピラティスって本当に良いものなの?
- ピラティスと理学療法は相性が良いと聞くけど、リハビリにどう活用できるの?
この記事を読んでいるあなたは、このような疑問を抱えているのではないでしょうか?
私は現役の理学療法士でPHIピラティスのマスタートレーナー(資格養成講師)ですが、
理学療法士は全員ピラティスを学ぶべきだ!
と強く思っています。
その理由を私の実体験も交えて解説していきます。
ピラティスは運動療法のツールとして最適
理学療法士は「痛みのある患者さん」を日々みていると思います。
患者さんの痛みを改善するのに「徒手療法」は最適なツールです。
手技を使って痛みのある部位の筋肉や組織を緩める、関節を動きやすくしてあげる、そして痛みを改善する。ここは理学療法士の得意な分野だと思います。
しかし、徒手療法で痛みのある部位のみアプローチすることは、「対処療法」にすぎず、痛みの根本的な解決には繋がりません。
なぜなら、痛みを引き起こした根本的な原因(身体の使い方、筋活動や筋長のアンバランス)にアプローチしていないからです。
一時的に痛みが良くなっても、痛みを引き起こした原因にアプローチしていないと、痛みが再発する可能性が非常に高いです。
例えば、あなたの家が雨漏りしたときのことを考えてみてください。
「雨漏りして床が濡れている。どうしよう!」となったとき、まずあなたがするべき事は
- バケツを置いて雨水が床に広がらないようにする
- 濡れた床を拭く
といった対処療法ですよね。
しかし、根本的にこの雨漏りという問題を解決するには、
- 雨漏り部分の屋根を修理する
という雨漏りの原因へのアプローチが必要です。
痛みに対して徒手療法のみを行っている理学療法士は、雨漏り部分の屋根を修理せず、雨水で濡れた床を拭き続けているのと変わりありません。
これでは患者さんの痛みは解決しているようで、全く解決していません。
普段行っている徒手療法に加えて、ピラティスを運動療法として取り入れることにより、
筋肉や関節といった身体の使い方を変えることができ、「根本的に」痛みを引き起こさない身体を作ることができます。
理学療法士はリハビリのプロとして、ここまで行えるべきだと私は思います。
私も徒手療法に加えて運動療法を指導していましたが、ピラティスを学んでからは、提供できる運動療法の質が格段に上がりました。
特に私がマスタートレーナーとして所属しているPHIピラティスは、考案者がアメリカの理学療法士ですので、まさに運動療法として大きな効果を発揮してくれるピラティスになります。
私が開催しているPHIピラティスの養成コースには、毎回理学療法士の方が何人か来てくださっています。
高齢者のリハビリとしても効果的
ピラティスのエクササイズには、基本の形に加えて、「修正」と「応用」というものがあります。
それにより、90代の高齢者からプロのアスリートまで難易度調整が可能になります。
例えば、「シザース」というピラティスのエクササイズの基本の形は
このような形で、ここから足をハサミのように交互に動かしていくような動きです。
“体幹部を安定させた中で股関節の動きのみを行う”ので、歩行中の股関節屈曲・伸展の学習、アスリートであればサッカー選手のキック動作の改善などに非常に効果的なエクササイズです。
しかし高齢者の方ではかなり難しそうですよね。
だけどこのエクササイズを使って、歩行中の股関節屈曲伸展の学習を促したい。。
そんなときに使うのが「修正」になります。
シザースの修正は上体をおろし、両膝を90°に曲げたまま、股関節のみ交互に動かしていく動きになります。
これなら高齢の方でもできそうですよね。
一見全く別のエクササイズに見えますが、“体幹を安定させた中で股関節の動きのみを行う”という点では、
「シザース」と同様の効果を期待できるわけです。
このように、修正のエクササイズを用いることによって、高齢者でもピラティスを使ったトレーニングが可能になります。
私が所属しているPHIピラティスは、この修正、応用も含めると80種類のエクササイズがあるため、高齢者の方のリハビリにも非常に適しています。
実際私も理学療法士として、多くの高齢の方にピラティスを使った運動療法を指導しています。
短時間でリハビリの効果を出せるようになる
ピラティスを活用することで、リハビリの時間を短縮することができます。
例えば、胸郭出口症候群(首や腕の神経、血管が圧迫され、腕を上げるとしびれやだるさ等の症状が現れる疾患)の患者さんを担当するとき、あなたはどんな運動療法を提供するでしょうか?
- 斜角筋や小胸筋の短縮に対してストレッチ
- 肩甲骨の外転位に対して、肩甲骨内転筋の強化
- 上腕骨の過剰な内旋位に対して、上腕骨外旋筋の強化
- 頭部前方変位に対して頸部の筋バランスの調整
こんなところでしょうか。やるべき事が盛り沢山ですね。
ピラティスでは「リバースプランク(修正)」というエクササイズ1つに、胸郭出口症候群に対して行うべき上記の運動療法、すべての要素が含まれます。
小胸筋、斜角筋にはストレッチがかかり、肩甲骨を正しい位置で安定させる筋肉が働き、上腕骨は外旋し、頭部が前に出ないように動きをコントロールするので頸部の筋バランスも調整されます。
※厳密には神経・血管の滑走性が担保されていない状態でこのエクササイズは行いませんが、徒手療法で十分に滑走性を作り、しびれやだるさ消えた後であれば、症状に注意しつつこのエクササイズを行います。
このようにピラティスを活用することによりリハビリにおける運動療法の時間を短縮でき、
しかも動きを習得できれば、そのまま自主トレーニングとして指導することができます。
患者さんとしては1種目だけを行えば良いので、かなり継続しやすいですよね。
理学療法士はどの団体のピラティス資格を取るべき?
以上、理学療法士がピラティスを学ぶべき理由3選でした。
理学療法士で、これからピラティスを学ぼう!とお考えの方の中には、
ピラティスの資格を取りたいけど、どの団体のピラティスが良いの?
と悩まれる方も多いと思います。
ピラティスの団体も数多くあるので迷われる方も多いと思いますが、
私が個人的に思う「理学療法士がピラティスの団体を選ぶコツ」は、
受講を検討しているピラティスの団体の”養成講師”に質問を投げてみて、その上で自分が「納得できる答え」が返ってくるか?です。
私はピラティスの資格を取ろう!決めたとき、様々な団体の養成講師が開催している体験会やグループレッスンに参加し、沢山質問をしました。
その中で「解剖学的」「運動学的」に、自分が最も納得できる答えが返ってくるのがPHIピラティスだったので、私はPHIピラティスを選択しました。
結果的にこの団体を選んで良かったと思いますし、ロジックに納得感があるので、楽しく継続的に学び続けることができています。
もしPHIピラティスを検討している方がいれば、私も養成講師を行っておりますので、分からないことがあれば何でもお問い合わせください。
納得感のある答えを返せるように努力いたします。
PHIピラティスの資格養成コースについては、以下の記事にまとめてありますので、参考にしてみてくださいね!